2019年の今年は、琉球王府の役人だった玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)が中国からの使者をもてなすために「組踊(くみおどり)」という舞台演劇を創作・上演して300年の節目の年ということで、組踊に関する記念行事が沖縄県内各地で催されています。
浦添市 勢理客(うらそえし・じっちゃく)には「国立劇場おきなわ」という施設があり、ここではいろいろな組踊作品が上演されています。
今日紹介する公園は、その国立劇場おきなわの前庭のように置かれている「組踊公園」です。
琉球石灰岩の原石に公園名の額がはめ込まれています。
名称:組踊公園 ( A park name: Kumiodori park )
所在地:浦添市 勢理客 ( Location: Jitchaku Urasoe-city Okinawa JAPAN )
利用は無料( Admission: Free of charge / 利用免费 / 利用免費 / 요금 불요 )
無料駐車場あり (Free parking available / 有免费的停车场 / 有免費停車場 / 무료 주차장 있어 )
施設:国立劇場おきなわ( A facility name: National Theatre Okinawa )
この公園へ行くには、那覇市の泊大橋(とまりおおはし)から北上して、なうら橋を渡って浦添市に入り、最初の信号交差点を右折するとすぐ左側に特徴のある国立劇場おきなわの建物がありますので、建物の反対側にある大きな駐車場に車を停めます。
北側から来る場合は、国道58号線の宜野湾バイパスから新しくできた通称、浦添西海岸道路(浦添北道路と臨港道路浦添線)に入ってサンエー浦添パルコシティ店の前を過ぎて、右側にある給油所を過ぎて、川をひとつ越えた最初の信号交差点から左折すると到着です。
国道58号線の本線からだと、浦添市と那覇市の境の安謝(あじゃ)の高架道路を上にあがらずに、沖縄トヨタ自動車のある勢理客交差点から海側(西側)に曲がり、しばらく道なりに進むと、右側に国立劇場おきなわが見えてきます。
なお、浦添市の「勢理客」の読みは、「せりきゃく」ではなく「じっちゃく」です。 ^ ^
一度見たら忘れられない形をした建物です。
建物の上部は褐色で、横からはわかりませんが屋根の上は朱色で塗られています。
Googleマップの航空写真で確認できますよ。 ^ ^
道路沿いの公園前には写真のように、石垣から水が湧き出る場所があります。
時間帯が合わないのか、私は最近この石垣から水が流れ出ているのを見たことがありません。 ^ ^;
水が流れていると清涼感漂う気持ちのよい場所なのですが、流れが止まっている時の石垣は赤茶色の鉄分が染みついた異様な姿をさらしてしまいます。ちょっと残念。
国立劇場おきなわは国の建物ですが、公園については浦添市の管轄になっています。
市に確認したところ、月曜から金曜の平日の午後1時から4時まで水は出ているとのこと。
きれいに透きとおった池の水には消毒薬が入れてあるので水遊びは出来ません。アメンボや小魚などの生物も全くおりません。
この写真は2010年4月頃に娘とこの公園に遊びに行った時のスナップです。
まだ石垣が新しく、赤茶色のシミも付いていませんネ。 ^ ^
水が流れ出る石垣の反対側はこんな風になっています。
石畳道沿いの芝生にはいくつかのベンチが置かれています。読書とかに良さげです。 ^ ^
公園内には組踊作品の一場面を、写真のように金属帯で表現された工作物があちらこちらに置かれています。
演目内容がわかる方が見れば、ああこれはあの作品のあそこの場面のものだとわかるでしょう。
写真は「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」のものでしょうか。私はこの作品だけは観たことがあります。 ^ ^;
この公園へ行ったついでに国立劇場で組踊のパンフレットをもらってきましたので、それと照らし合わせて、この写真はどの作品の場面かなぁと調べたのですが、よく分かりません。 ^ ^;
間違っているかもしれませんが、田里朝直(たさと ちょうちょく)の三番作のひとつ「大城崩(おおぐすくくずれ)」の場面かなと思います。
なお、中央にある丸いパネルには近隣の地図が印刷されていたのですが、風雨にさらされ今では何なのか全くわからなくなっています。 ^ ^;
このような台座の上に置かれたものには説明板が取り付けられているので作品名がわかります。 ^ ^
これは「伏山敵打(ふしやまてきうち)」。金属の素材は銅板でしょうか。
背景に安謝交差点近くのNTTのタワーが見えてます。
こちらは「花売りの縁(はなうりのえん)」です。
これは「万歳敵打(まんざいてきうち)」のもの。かなり手が込んでいます。
こちらは、鐘の表面に場面が刻まれています。「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」のものです。
小さなステージのような構築物もあって、「組踊先達顕彰碑」の額がかかっています。
娘と遊びに行った時、娘はこのステージの上で即興のダンスを踊って楽しんでいました。 ^ ^
六本の柱で支えられたあずま屋です。赤瓦屋根が良くマッチしています。
奥の方にもうひとつのあずま屋も見えています。
あずま屋とは対照的に、モダンな造りのトイレがあります。 ^ ^
もちろんトイレは劇場内にもありますよ。
先ほどのトイレの後ろ側のようすです。
ここだけを見ると何かまるでわかりません。建物であることすらわからないくらいです。
左側には遊歩道が延びています。
公園と反対側の国立劇場の後ろ側には松並木があって、その中を遊歩道が続いています。
遊歩道の奥のほうに自転車に乗っている人が見えますが、ネパールかバングラデシュの(と思われる)男女20人ほどの集団が自転車で通り過ぎて行ったので、少しビックリしました。 ^ ^;;
歩行者専用ではないようです。ここには石製のベンチが置かれています。
左側に見えている白い柵の向こう側には、小湾川が流れています。
メモ: 公園利用は無料/ベンチあり/あずま屋あり/トイレあり/水飲み場なし?/自販機あり/駐車場あり/池あり/屋外ステージあり/遊具なし
冒頭でも書きましたが、今年2019年は玉城朝薫が組踊を創って300年ということで、さまざまなイベントが行われています。
国立劇場おきなわ内のロビーにも、「朝薫の五番」として代表5作品を解説しているパネルがありました。
一階には無料の資料室もあって、普段は写真撮影禁止らしいのですが、組踊上演300周年記念事業に関する資料の展示中は撮影OKということで撮ることが出来ました。 ^ ^
これは「二童敵打(にどうてきうち)」の舞台衣装などです。
人さらいの話の「女物狂(おんなものぐるい)」の顔出しパネルが置かれていました。
このほかにも「執心鐘入」の顔出しパネルもありました。
こういう顔出しパネルは、300周年記念事業が終わった後も残しておいてほしいですネ。
国立劇場の大きな駐車場のようすです。もったいないくらいに広いです。 ^ ^;
組踊は2010年にはユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも記載されました。
国指定の重要無形文化財でもあります。沖縄の誇れる文化のひとつです。
組踊誕生300周年の記念すべき今年に、イベントがあれこれ開催されているうちに、是非機会見つけて組踊鑑賞してみませんか?
上演日時や演目、イベント等については国立劇場おきなわの公式ホームページをご覧ください。
なお、組踊の鑑賞時には上演される演目のあらすじを事前に知っておくことが前提とされているようです。
ほかにも約束事などがありますので、パンフレット等も読んでくださいね。
あやうく書くのを忘れてしまいそうでしたが、今日の公園には遊具はひとつもありません。
しかし、手入れされた芝生の庭を歩くだけでも気持ちいいので、近くに来たついでに散歩でもしてみてください。
駐車場に困ることもありませんから。 ^ ^
となりに建っている浦添市産業支援センター・結の街の個性的な建物も見ものです。
さて、このブログを書いている最中に驚くような新聞報道が出ていました。
2009年に老朽化のため閉館となった那覇東町会館にあった沖縄県立郷土劇場の代替施設を、「国立劇場おきなわの横にある組踊公園へ建設する方向で検討」されているという内容の記事です。
報道内容どおりだとしたら、数年先には組踊公園は無くなっているかもしれないですね。ワォォォッ!
[photography: 4/2010・10/2019 ]
コメント